2011年12月6日火曜日

夕景についてのRAW現像考察

いくつかのSILKYPIX RAW現像 HOW TOコンテンツを作って来たが、「ここをこうすればこうなる」とか「この機能はこんな目的で」という機能紹介系が主だったので、見ている方ももちろん作っている方もそろそろ飽きて来ているのではないだろうか?
そこでちょっと趣旨を変えて筆者的

調整から仕上げまでの考察

と題してどのようにして(意図も含めて)フィニッシュさせたのかの経緯などの紹介や、やや応用、実践的な使い方などもご紹介したいと思う。


最初のテーマは夕景。筆者の勤めている市川ソフトは東京湾に面した海の近くにある。夕方少し海の方へ行けばきれいな夕景に出会える事が多いのだが、あまり近すぎると日常化してしまい、撮影機会も減ってしまっていたため今回改めてこのテーマを選択してみた。
ロケーションは幕張の浜で撮影時刻は2011年12月05日の16時50分。太陽が水平線に沈んだ直後位のいわゆる「マジックアワー」などとも呼ばれている時間帯だ。
夕日に染まった水平線付近から、空が高くなるにつれて徐々に濃い青へと美しいグラデーションを見せてくれる。

このようなロケーションでの撮影



今回はホワイトバランスセッティングだけに注目して夕景の色のコントロールをしてみたいと思う。
まず最初にカメラ設定。今回はカメラの設定はAWBを使用した。
ちなみに露出、HDR、調子をすでに変更している。


撮影時、WBはカメラ設定(AWB)


まあまあ良い感じだと思う。夕日の色(オレンジ)がしっかりと出ていて悪くはない。
ただ、今回の筆者の意図は波打ち際に写りこんだ高く青い空の色も再現したいと言う事がある。
この写真で波打ち際を見て欲しい。青味が抜け、グレーに近づいているのが分かるだろうか?これはカメラのAWBが波打ち際の空の写りこみ(青)を青かぶりと判断した結果それを補正したのではないかと筆者は推測した。

そこでSILKYPIXでRAW現像時、色温度を少し低く(青い方向へ)設定した。

SILKYPIXでWBを調整

撮影時が約4570Kに対して調整後が4300K。300K弱の変更だが波打ち際のグラデーションの青味が強くなってきたのが分かるだろうか?ここで気を付けたいのが、夕日のオレンジと波打ち際に写りこんだ空の青さの色のバランスだ。RAW現像時にあまり青く調整し過ぎると夕日の色はどんどん薄く感じるようになってくる。この2つを上手く両立させるところに着地させるように調整した。


これで完成でも良いのだが、今回は写りこみの青が紫っぽいのが少し気になる所。もう少しクリアな青で冬の空を表現したい所だ。そのため、

ホワイトバランス微調整で紫かぶりが少なくなる所を探してセットしてみた。

SILKYPIXでWB微調整


ここでの調整のポイントにしたのは写りこみのグラデーションのつながりだ。
砂浜の奥にあるオレンジから手前の青はそのまま空の色を写し込んでいる。そのつながりを意識して筆者が美しいと思う冬の空のグラデーションをここで表現した。ここでも水平線近くの夕焼けの色が薄くなり過ぎないようにバランスを見ながらの調整となった。

最後にカラーから彩度を少し上げてみた。


SILKYPIXで彩度を高く設定(1.20)


これはホワイトバランスを夕日と青空の中庸を狙ったため、双方の色味が少し薄く感じられるようになったのを補填する意味合いで使っている。あまり不用意に彩度を上げすぎるとべったりとしたり階調が失われたりする事があるのでそこに注意しながら調整するのがおすすめだ。
今回のこの写真はこれで完成とする。


ちなみにホワイトバランスだけでこんなに変わるよ~。というのをお見せしよう。


SILKYPIX WB(晴れ)


SILKYPIXのWBテイストで晴れを選択したもの。銀塩デイライトフィルムを使ったっぽい色合いだ。夕日の色が少し強く出ている。夕日の色重視だとこれはこれで悪くない。




SILKYPIX WB微調整でマゼンタっぽく


さらにホワイトバランス微調整でマゼンタを乗せたもの。これだと少し夏っぽいイメージになりますね。南国の島の夕景とかの味付けとしてはこんなイメージ付けも良いかも知れません。




SILKYPIX WB(日没後)


SILKYPIXのWBテイストで日没後を選択したもの。
かなり夕日の色が強く出ています。主題を夕焼けだけに絞り込むのであればこのような仕上げ方もありでしょう。例えばこの場所にモデルさんを立たせ、もう少し露出を上げて撮影すれば風景ポートレートなどでは夕焼けの空気感は強く表現できますし、温か味も感じられます。

こんな感じでテーマとかコンセプト、または被写体の特徴などに応じて、試行錯誤しながらホワイトバランスをセッティングして行けるのもRAW現像ならではです。
ホワイトバランスは色全体を相対的に動かしますので、フォトレタッチでカラーバランスを調整するのに比べて不自然になりにくく、簡単に且つ様々なイメージに対応する事ができる。


ちなみに普段はこんなにロジカルに考えながら作業を行っている訳でなく見た目の印象で「ここをこうしたい」とかいう感じで調整を行っているのだが今回は説明の為に色々解説を考えながら紹介している。なかなか写真編集を言葉で説明するのって難しいですね。


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市川ソフトラボラトリー
http://www.isl.co.jp/

SILKYPIX
http://www.isl.co.jp/SILKYPIX/japanese/

ダウンロードページ
http://www.isl.co.jp/SILKYPIX/japanese/download/

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