まずは、基本3項目の調整を紹介する。
- 露出(明るさ)
- ホワイトバランス(色合い)
- 調子(トーン)
の調整だ。
これらを最初にしっかりと設定し、自分の求めるイメージにある程度近づけておくととても楽だ。
今回は以下の作例で見ていこう。1.露出(明るさ)
雲や川の中にある太陽に照らされた石の輝きが弱い(少しアンダー気味)だと感じたので雲の階調が残るギリギリ位を狙って明るく調整した。
露出補正
これ以上明るくすると影の雰囲気が弱くなってしまうし、白とびも増えてしまう。そのバランスを見ながらこの辺りが落としどころと判断。
2.ホワイトバランス(色合い)
これはカメラのAWBを使って撮影したものだ。
まずは、カメラ設定による仕上がりを見ていただきたい。
少し青緑っぽく色が抜けたように感じる方もいるのではないだろうか?
確かに夕暮れ間近の写真にしては少し青味が強い。そこで、RAW現像時に見た目に近い色合いへ設定しなおしてみたのがこちらだ。
少し太陽の色味を感じるように調整した。これを見るともともとの写真が少し青緑だったんだなとお解りいただけるのではないだろうか?
しかし、これはカメラのAWBの動作としてはおかしい結果ではない。なぜならAWBと言うのは基本的には「色かぶりと取る」機能だからだ。当然少し日が傾いた感じのオレンジ色の太陽の光の色をこのように補正してしまう事がある。そうすると、撮影者は「見た目よりも青い」と感じるようになる。
ではどうするか・・・?- 撮影時にAWBを使わずカメラでWBを任意に設定するか、
- AWBで納得いかなかった場合、RAW現像時に設定しなおすか
だ。弊社はRAW現像ソフトの会社なので当然RAWでの再設定をお奨めしたい所だが一応それぞれの特徴を書いておく。
【撮影時カメラ側で任意でWBを設定】
メリット
- 撮影している状況が目の前にあるので背面液晶と比べることでイメージがつかみやすい。
- その場で確認する事でイメージにそぐわない場合は再撮影の判断がその場でできる。
問題
- 撮影時に設定しなければならない項目が増えるため、瞬間的なシャッターチャンスを狙う被写体では難しい。
- 屋外で液晶を確認するため、細かい色調まではわからない。
【RAW現像時にWBを再設定】
メリット
- 撮影後なのでゆっくりと時間をかけて検討しながらWBを決めることができる。
- 細かい調整ができる。
- カラーマネージメントやカラーマッチングが有効なPC上で作業した場合、プリントのイメージが掴みやすい。
- 現実色とは異なる色調表現のような作品に仕上げる場合、バリエーションが試せる。
- 撮影時のイメージを忘れてしまう事がある。
少々RAW現像びいきになってしまうのは軽く流していただくとしてこのような所だろう。
さて、このWBは色にとって重要な項目なのでもう少し細かく説明していこう。
SILKYPIXのホワイトバランスには大きく分けて以下2種類の設定がある。
- 色温度
- 色偏差
【色温度】
電球や夕焼けのオレンジかぶりや、日陰などの青かぶりを調節する機能だ。
赤から青にかけて色調が変化していく。
またこれを色表現として使った場合、「暖色系」や「寒色系」と呼ばれる場合もある。
色温度を高めに設定(暖色系)
色温度を低めに設定(寒色系)
【色偏差】
昼白色蛍光灯の緑かぶりや、電球色蛍光灯のマゼンタ(赤)かぶりを補正するものだ。基本的にはこちらがズレていると不自然な仕上がりになる事が多いが、夕焼け時にはあえてズラす事でトワイライトフィルター(赤)のような使い方もできる。
色偏差をグリーン側へ設定
色偏差をマゼンタ側へ設定
少々極端に設定するとこんな感じの変化となる。
色偏差は、緑かぶりが強ければマゼンタ側へ、マゼンタかぶりが強ければ緑側へ補正していく。
調整のワンポイントは
- 写真全体の雰囲気に合わせて決める。
- 色かぶりを補正したい場合には、グレーに近い所に色づきが無いかを確認する。
最初はこんな所だろう。
今回の作例は筆者が感じた見た目の印象に近い仕上がりを目指した。
2.調子(トーン)
基本3項目の最後は調子(トーン)の調整だ。
基本的には軟調~硬調などを被写体やイメージに合わせて設定していく事になる。
今回の写真では
- コントラスト高め
- 黒レベル高め
に設定した。写真は以下の通り。
調整のポイントは明暗差をよりはっきりつけて川面を少し明るめに。まずはここに目が行きやすいように強調した。
黒レベルを少し上げて画面左の暗部を少し締めた。これはプリントした時の黒の締まり具合を意識してのことだ。
ひとまず完成
以上長々と解説したが今回行ったのは基本となる3項目の調整だけだ。
それだけでも写真の印象が大きく変わる事を見ていただければと思う。
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