SILKYPIX TIMES: X3ダイレクトイメージセンサー×SILKYPIX特集～RAW現像特定の色の調整編～

先日ご紹介した

露出(明るさ)
ホワイトバランス(色合い)
調子(トーン)

の調整が完了した所でまだイメージにそぐわない点が残る場合もあるだろう。今回はそんな場合の補正例を紹介する。

まずは調整前の写真を見ていただきたい。

調整前

これに基本３項目の調整を行うと

基本３項目調整後

【露出】
列車や手前の葦に合わせて明るく調整。

【ホワイトバランス】
太陽の色味を残すように少々暖色系へ調整。

【調子】
少々硬調にし、黒レベルを上げた。

こんな感じの補正を行った。

列車や河原の色調に満足したものの、ホワイトバランスを暖色系にした影響で空の色が少し赤みを帯びてしまった。イメージとしてはもう少し水色っぽい抜けの良い空にしたい所だ。

そこで、試しにホワイトバランスで空の色調が水色になるように調整してみた。

WBを空の色に合わせ調整

なんだか緑かぶりが強い写真になってしまった。
さてどうしようか？？

この場合基本３項目調整が終わった状態で「ファインカラーコントローラ」を使うと良いだろう。
ファインカラーコントローラは特定の色だけ「色相(色合)・彩度(鮮やかさ)・明度(明るさ)」を調節するものだ。

ファインカラーコントローラで青と紫を調整

【ファインカラーコントローラ】
ファインカラーコントローラを使って

青の色相を水色側に、また彩度を少々高めに設定
紫の色相を青側に、また彩度を少々高めに設定

を行った。ホワイトバランスの調整とは異なり、ファインカラーコントローラでは指定した色以外の色調は維持されるため、この写真の場合は空の色のみが変化する事になる。

組写真などを考える時に、写真を並べてみて、空の色調を少し揃えたい場合もあるだろう。そんな時にこのような色ごとに調節できるファインカラーコントローラは便利だ。

もう一つの例を見てみよう。

調整前

ホワイトバランスを整えた状態で空の色を見ると不自然に赤みを帯びている。デジタルカメラのRGB感度特性は人間の目とは異なるため、人間の目には感じない赤外線などの影響が出てしまう事がある。この場合はその影響なのだろうか？？とにかく赤みを抑えたい。この場合もファインカラーコントローラで調節すると楽だ。

ファインカラーコントローラで青と紫を調整

作例では効果が解りやすいように少し強めにシアン側に振っているがホワイトバランスに影響することなく空の色が変化しているのが解るだろう。

この調整は基本３項目が決まった後に行うと良いと思う。なぜなら、露出やWB、調子などを変更すると色の見え方が変わってくるので先にそこを決めてしまってからの方が個別の色に手を出しやすいからだ。

次の例ではファインカラーコントローラのもう一つの活用方法として

色飽和への対応

を紹介する。

まずは写真を見ていただきたい。

調整前

少々アンダー気味でホワイトバランスもずれている。これに対して基本３項目調整を行うと、

基本３項目調整後

【露出】
少々明るく、葉っぱの色が鮮やかになるように。

【ホワイトバランス】
マゼンタかぶりを起こして葉っぱの緑が色ヌケしているので植木鉢が白くなるように調整。

【調子】
鮮やかに見えるようにコントラストを上げ硬調気味に設定。

を行った結果、写真全体の色調は良くなったが、花の赤が色飽和を起こしべったりとしてしまった。これは花自体の彩度や明るさが高いためだ。
ここで写真全体の彩度を下げて対応してしまうと全体が不自然な地味さになってしまうのは想像できるだろう。

そこでファインカラーコントローラを使って